齋藤様より (2021)
2016年、我が家にりゅうがやって来てから私はずっと悩んでいたように思います。私も夫も子供の頃に実家に犬はいたものの、自分たちで飼うのはりゅうが初めての経験でした。りゅうはとにかく可愛くて。陽気で明るくて賢いところもあり、お座り、待て以外の色んな指示語もすぐ覚えるような犬でした。その一方で、ビビリで頑固。お散歩でここの道は怖いから行かない!家族全員一緒じゃないと歩かない!これはイヤ!あれもイヤ!いたずらでゲットしたものは僕の物だから取り返そうとするなら唸ってやる!そんな時期がありました。
本もネットもいま流行りの「褒めて伸ばす」も。色んなことを試して試して……うまくいかないけど、でもまぁこんなものなのか…?と諦め。また新しいやり方を見つけると試して…その繰り返しでした。
転機はりゅうが2歳になった年の年明け。頑固がさらに顕著になり、気に入らない犬に吠えたてる。
そして、一緒の布団で寝ていたりゅうに少し横にずれてもらおうと退かすと、いきなり逆上して噛みつかれるという事件が起きました。夫婦共に何度も。私の中で「人や他の犬を噛む犬にだけはしたくない」というボーダーラインがあったのですが、それをついに越えさせてしまった瞬間でした。
実は以前から先生の生徒さんを知っていた私は、家族への咬傷事件の前年秋に先生のしつけ教室があると聞き「是非!見に行こう!!」と決めて参加してみました。ハキハキととても分かりやすく犬への愛情と躾の重要さを語る姿に「あぁ、この人なら任せられる」と密かに決めていた私は、咬傷事件後にあの先生に今すぐ依頼をしようと提案、夫からもすぐに了承を得ることができました。
トレーニング開始を決めたカウンセリング初日。りゅうは先生とただ歩くことも拒絶。ひっくり返って「絶対イヤだ!!!」と引きずられていました。そこから半年は戦いでした。りゅうの凝り固り頑固で拒絶する心をほぐしていくトレーニング。怒りを出し切るトレーニング。許容範囲を広げていくこと。車に乗ったら吠えたてるのをやめさせる、お散歩の仕方、褒め方、叱り方、タイミング。りゅうのトレーニングであり、私たち家族のりゅうとの付き合い方のトレーニングでした。
お試しコース&ロングコース1回目を終えた頃、一番悩んでいた問題行動はほぼなくなっていました。
私と夫が苦手としていた適切なタイミングで叱ること、褒めることが少しずつできるようになっていた頃でした。
そこから回数を重ねていくごとに、お散歩が楽にできる、いたずらは楽にやめさせられる…いつの間にか一緒に生活しやすくなっていました。さらに先生からりゅうの好きそうな遊び道具や遊び方を教わっていき、合同トレーニングで色んな犬と一緒にいることが平気になり「大型犬は嫌いだ!好きな犬でも近くに寄られるのは嫌だ!」と頑なだったりゅうが、他の犬とぴったりくっついて笑顔で写真が撮れるまでになっていました。
そして、昨年は我が家にあたらしい家族が増えました。
子供が産まれるとわかった時もりゅうは大丈夫だろうか…と分からないことは全て先生に相談し「きっと大丈夫!」という気持ちで出産に臨めました。今のりゅうは子供と上手に距離を取りながら、時には遠くから、時には舐めたり一緒に寝たり、自由に同じ空間で過ごしています。
色んな変化からのストレスと私達夫婦の油断があり、おもちゃの誤食による開腹手術の時も手術前後の経過、術後のケア、体力回復まで…ずっと先生が助けてくださいました。もし、あの咬傷事件後も先生に出会わずにいたら…それでも私達はりゅうを可愛く思い、大事にしていたとは思います。
ただ、子供をりゅうと同じ空間で育てることは躊躇っていたと思います。子供が居る事でりゅうは家中を好きに行き来出来なかったり【よく分からない小さな人間(赤ちゃん)】がいる生活にイライラが募って、イタズラや噛みつきが酷くなり、大変な生活になっていたかもしれないな…と。今のように一緒にいるのが何より楽しく、世界一可愛い我が家のりゅう!!と思いながら過ごすのは難しかったかもしれないです。
今のりゅうは許容範囲が広がり、レトリーブ、ドッグダンス、アジリティ…色んなことに一緒に楽しみながらチャレンジしています。悩みながら正解が分からず、りゅうをイライラさせていた日々からすると考えられないような生活です。
今では祐子先生は我が家の最強の伴走者です。
今後も4人1犬12脚!楽しみながら歩いていけたらと思っています。
【トレーナーより】
りゅうのリードを持って一緒に歩いた際に「やぁぁぁだぁぁーーー!」と胴長コーギーが伸びたまま仰向けになり歩行を拒否したカウンセリング日の事はよく覚えています。モップのように引きずられるりゅう。その全身で可愛らしく抵抗するだけならば私が呼ばれる事は無かったかな。他人と歩く事が出来なくたってそれは特に問題ではない。問題は反抗・抵抗の方法に「咬み付き」が出た事。りゅうのその行為は稀ではなくごく当たり前な方法となっていました。咬み付く行為は犬にとって最上級の主張行為。これをどうやって改善していくかが1番の課題となりました。出会った頃のりゅうは心を許せる【許容範囲】がとっても狭い。「気に入らない事は咬む」という状況でしたがその原因は飼い主さんの「知識不足」と「判断の遅さ」です。初期段階で対応出来ていたら飼い主さんが涙も血も流さないで済んでいただろうなと感じるくらい、りゅうの咬み付きは先天性ではなく成長の過程で得てしまったと感じました。トレーニング中に歯を剥き出し「先生を絶対に咬んでやる!」とヒートアップする事が何度もありましたがその通りにならない、敵わないといった敗北に近い感情を何度も何度も体感するうちに・・・りゅうの目が優しくなっていきました。ギラギラ期に比べたら今のりゅうはキラキラ期。りゅうのトレーニング初期はかなりハードな内容となりましたがそれを乗り越えた事が変化の1つ。でもトレーニングだけがりゅうを変えた訳ではなくとっても大きなポイントは飼い主さん。カウンセリングの際に「りゅうの唸りへの恐怖心と悩み」を強く抱えていらっしゃるなと感じたご夫婦がみるみるうちにお伝えした事を吸収し強さと頼もしさが出てきました。これほど頼もしく、愛犬の変化や成長への観察力が鋭い方はなかなかいらっしゃらない。焦らず・少しずつ・りゅうの気持ちも考え・でもダメな事は絶対にダメと全力でりゅうに伝える。初期の頃は本当に大変だったと思います。私からも様々なお願い・条件を出していました。課題を丁寧に乗り越えて下さり感謝しています。これからはスポーツを楽しみつつ笑顔溢れる賑やかなファミリーになっていかれる事を願っていますし、これからも最強の伴奏者としてついていきます!笑