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​横井様より

我が家の廊下にとなりのトトロに出てくる「まっくろくろすけ」の様なモノが

風に煽られ姿を見せ始めたのは2年前の8月からでした。 

何もわからない我が家に突然、彼はやって来ました。
DINKS世帯の我が家はペットと暮らす選択はしていませんでしたがあの夏の昼下がりに出逢ってしまったのです。

前年、私達それぞれが大病を患いこれからの人生を考え直すタイミングでした。
生後2カ月を10日ばかり過ぎた小さな小さな黒柴は怯えるようにやってきました。

前日にサークル他、お迎え用の道具、犬の飼い方How to本を数冊そろえ迎え入れました。昨夜「虎徹」と名付けた新しい家族に見様見真似で私達は接しました。僅か一週間で想像していた柴犬と現実のギャップに気付き「これは大変なことになった・・・」と思い始め各所のドッグスクールをWebで探しました。しかし月齢3ヶ月に満たないワクチン未接種は不可のスクールばかりでした。そうしているうちに偶然HEART of DOGのページに行きつきました。WebにUPされている犬達の豊かな表情、幸福な様子を感じました。

「素直な心を育てる事を目的としたトレーニング」

というフレーズが胸中の琴線に触れ直接メールを送りました。
(後日、写真の表情のからくりは分りましたが(笑))
怯えたように目を合わさない彼を何とか先生が撮る犬達みたいな表情にしたい!との思いからのメールでした。

鈴木トレーナーとの初めての接触で彼はこれまでの2週間とは全く違った行動をとりました。

傍らで見ていたのですが「流石プロのドッグトレーナーだなぁ」というのが最初の感想です。柴犬の性格か彼の持っている特徴なのか「自信満々で恐れ知らず」、「攻撃的で警戒心が強く」、「活発で運動好き」特に攻撃的な面が強く興奮すると生えそろったばかりの尖った乳歯で執拗なまでに攻撃をしてきました。

 

先生は彼の性格を開放するトレーニングを始めました。

「彼の怒り感情を出し切るトレーニング」は見ている私達も目を背けたくなる内容でした・・・。

 

生後3ヶ月で散歩デビュー、教え子の犬達との社会化訓練等など、本当にありがたいトレーニング内容でした。

食事についても厳しく指導していただきフードもおやつも無添加の物しか与えていません。ここから私達の親バカ振りが始まります。彼のためにリビング、廊下のフローリングに滑りにくい「愛犬の床」を施工し、彼の住環境を考え和歌山のクラフト工房から今までの3倍の広さのサークルを購入し、愛知県の精密鈑金加工業者からステンレス製のトイレを取り寄せ、リビングの家具・電化製品を一新し彼中心の動き易い空間を作りました。

トレーニングが3巡目に入ったころから「しつけ」「服従訓練」を開始しました。彼はなかなか言うことを聞かず、先生の指示は聞くが、飼い主の指示は聞かない日々が続きました。先生から「パパ、ママの問題だよ。パパ、ママの接し方!」と何度も強く叱責されました。彼にとって頼もしい存在になろうと決め、トレーニング中も日常生活でも真剣に彼に接しました。彼は私達の態度、心の変化・葛藤を鏡の様に映しだします。夫婦で腹を決めてから彼の行動が見る見る変わっていきました。

 

トレーニング開始後一年が過ぎたころ、先生から「競技会に虎徹を出そう」と提案がありました。それは、1歳の誕生日を前に、日中留守番をしているストレスからか尻尾の毛をむしる自傷行為を始めた頃です。先生から「活発で運動好きだから夜の散歩だけじゃ足りないかもね」とアドバイスを頂きました。妻はもっと彼との時間を持てるようにと永年勤めた都内の職場から自宅近くに転職し朝・夕各1時間以上の散歩を数カ月続けていました。私も正直どうなのかなと思いましたが夫婦で挑戦することにしました。

妻はスイッチが入り「頼もしい飼い主」として彼と接するようになりました。彼の行動も日に日に変化がありました。競技会に出させて頂いたおかげで彼との絆も深まり、私達夫婦を成長させてくれました。先生の頭の中にはこの結果が見えていたのだなと思います。私達夫婦の予後も良好で彼のおかげで散歩という名での運動ができています。巷間ではアニマルセラピーという動物介在療法を耳にしますが、彼がやってきて知らず知らずのうちに癒されていたのだと実感します。 今では凄く良い表情で目を見て語り掛けてくれ、夫婦団欒の横で静かにいます。時には伏せの姿勢、眠くなると前脚を折って腹を出して寛いでいます。彼は犬も好きですが人も大好きな性格に育ち初対面の人にも背中を向けてすり寄り全身を撫でてもらいたがります。

彼の成長を感じるたびに、悩んで先生のブログで見つけ、何度も読み返した「犬は賢く大好きな人の期待に応えようと一生懸命頭を使える動物です。でもその頭を使うには飼い主さんが愛犬と本気で向き合う【心】が絶対的に必要です。」とのセンテンスが脳裏に蘇ります。

 

夫婦でする会話は彼中心、傍らに彼がいることが自然になっています。

言葉を理解してきたのか何気ない言葉にきちんと反応しています。我が家は彼中心の生活リズムになりましたが2年前に偶然出会えたことに感謝しています。もし別の柴犬に出逢っていてもこのような関係になれたのかな、いや違うだろうなぁと偶に想像します。 まだまだ彼に成長してもらいたいし、沢山の思い出を共有できるように過ごしていきます。鈴木トレーナーの縁で知り合った友達と一杯遊んでもらいたいです。そういう意味で2年前に偶然HEART of DOGのホームページに辿り着いた自分に「Good Job !!」と褒めたいです。

彼は今、傍らで大好物のアキレス腱を顔の横に置き腹を見せて寝転んでいます。

彼がよくやる「もっと遊ぼうよ」と誘う誘発的腹見せかな。どれどれ・・・。
この時期抜け毛も増え「愛犬の床」を施したピッカピッカの廊下には小さな「まっくろくろすけ」が風に吹かれて動いています。

​【トレーナーより】

横井さんからご連絡を頂いた時、虎徹の月齢を聞いて「今後の育て方について早い段階で学びたいから連絡を下さったのかな」と思っていましたが、生後3か月の虎徹を見てびっくり。仔犬ならではの無邪気さは当然ありましたが、それだけでなく異常に興奮しやすい虎徹がいました。横井家で飼育するはじめての犬。これは非常に難しい犬がはじめて犬と暮らすご夫婦の元にやってきたぞ・・・とトレーナー魂に火がつき、サポートしなければと思った事を覚えています。生後3か月で本気でキレてしまう虎徹。短気で怒りんぼ。時間をかけて心の許容範囲を広げつつ、安心感を育てていきました。

長い留守番が彼の不安を増長させ、いざ外に出た時にはその鬱憤を爆発させる・・・。飼い主さんが共働きで日中独りの時間が長い犬に起こりやすい状況。更に飼い主さん自身も「留守番が長くてごめんね」という罪悪感があり散歩時に犬を好きにさせてしまう傾向がこのような状況を引き起こすきっかけになる事もあります。
横井さんは私からの厳しい指導を全部聞いて下さいました。
「こうした方が虎徹にとって良いよ」というアドバイスは時に横井さんにとって大変な内容であったり寝る時間を割いて虎徹との時間を作って頂く事もありましたが、ついてきて下さった事に感謝しております。結果、あの生まれ持って怒りやすく興奮型の虎徹が・・・今では優しくクリっとした目で飼い主さんを見つめて穏やかに生活できる姿が非常に増えました。

何より、ここ最近は虎徹が横井さんご夫婦に対して甘える姿を多々拝見します。競技会に出る事を目標とした事で虎徹の細かな部分まで目が行き届くようになり、結果、互いの信頼関係が増しただけでなく虎徹が横井さんをより好きになる結果となりました。「かわいい、可愛い」だけでは犬は成長しません。抱いていたドッグライフとは違うものになり戸惑いがあった事と思いますが、虎徹の飼い主として虎徹に必要な飼い主にならなければいけません。犬を飼うという事は生活リズムや生活環境を改善しなければいけない事もあります。でもその努力の先にはかけがえのない愛犬との関係性に大きく影響します!

私が犬飼い主さんに伝えたい想いを今も忘れず心に留めて下さり嬉しく思います。まだ若い虎徹。これからも気を緩める事無く虎徹の為にも頼もしい飼い主さんでいてください!ずっとサポートして参ります。

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